チャンピオンヒルズに行ってきました!

2020/12/18

 

最近、特に栗東・調教師との会話でよく出てくるのが「一度放牧に出したいんですけど、今回はチャンピオンヒルズでもいいですか?」という内容。これ、本当に多くなってきました。

クラブ側として、放牧・外厩先については原則、調教師の意向に沿って対応させていただいています。こちら側から、「〇〇でお願いします」ということはほぼありません。そうした中で、外厩先に指名されることが格段に増えた「チャンピオンヒルズ」。経営や成り立ち・設備については、インターネット上でも語られているので、そちらをご確認いただければと思うのですが、当クラブ所属馬の利用が増えてきたため、どんなところか簡単にご案内したいと思います。

最初に驚くのがその大きさ。東京ドーム15個分ほどの敷地内に、トラックコースがダートコース・フェルトダートコースの2種。外のコースで1周が1100m~1200mほどありますので、ちょっとした地方競馬場並みの広さです。

さらに規模の大きさを表しているのが、その馬房数。チャンピオンヒルズ内には12厩舎あって、1厩舎30馬房ですから、合計360馬房となります。これはノーザンファームなどと比べて勝るとも劣らない、もしくは匹敵する数です。付け加えると1馬房の大きさも、通常のものより、少しゆとりがある造り。全く窮屈感がありません。性格がキツめのタイプでも、すごく落ち着きが出てくるというのは、広々とした敷地と静かさ、さらにゆったりめの馬房・・・こんなところにも理由があるかもしれません。

そして同施設の代名詞とも言えるのが、全長1000mある2本の坂路コース。特筆すべきは1000mが一直線であることです。他の施設でも、それなりの長さの坂路コースはもちろんありますが、実際追えるのは2Fだけといった場所もあります。その意味では規模の大きさをフルに活かせる仕様だと言えます。なおかつ、こちらもトラックと同様にコースが2種。1つがフェルトダート。もう1つがウッドチップです。

「フェルトダートとは、ダートにフェルトを混ぜたもので、非常にクッションが効いていて、グリップ力があります。馬が躓くような場面がほとんどありません。脚元にとても優しく、かつ大きな負荷をかけられるコースです」とチャンピオンヒルズ関係者。実際、栗東の助手などが試し乗りに来ていたそうですが、コースコンディションを異口同音に高く評価していたとのこと。一方のウッドチップは競馬ファンにはお馴染み、こちらはスピード調教を目的としたコースになります。

「従って、大きく負荷をかけてトレーニングをしたい場合はフェルトダート、スピードを高めたい時はウッドチップ、という使い分けです。負荷のかかり方のイメージとしては、フェルトダートの15-15を切る程度が、ウッドチップの13~12ぐらいになりますね」。ここは重要なところかもしれません。

また、チャンピオンヒルズには診療所があって、獣医師が常駐。トレーニング後は、ただちに乳酸値を測り、どれだけ負荷がかかったかを調べます。その数値によって、‘’もっと強く‘’、逆に‘’少し控えめに‘’などという調整プランが立てられるということです。

その他、知っていて損にならない情報はないでしょうかと尋ねると「フェルトダートは4F57秒が普通。歴戦の古馬でもハロン13秒が力いっぱい走ってのラップと思ってもらっていいかと。なので新馬、若駒が13秒を計時しているなら、それなりの走力があるはずです」という回答でした。

さらに「こちらのウッドチップ坂路で4F53秒~54秒を記録していれば、栗東坂路では52秒台が出る傾向もあります。つまり栗東よりもキツいコースということです」との情報も。栗東坂路52秒台は、一定の基準をクリアしているのではないかと思えるライン。クラブの外厩先近況コメントでも、できる限りそうした内容を入れていきたいと感じるお話でした。

トレセン関係者も大いに注目しているチャンピオンヒルズ。短期放牧では、全ての管理馬を同施設に入れている厩舎もあります。またこちらが取材している時にも、某調教師がササっと訪れて管理馬をチェックされていました。栗東からのアクセスの良さも非常に大きな魅力となっているようです。

ただそれでも、関係者への最後の質問に対する回答が、最大の武器が「人」であると強く感じた瞬間。

「結局、このような設備を活かせるかどうかは、我々スタッフ次第だと思っています。この施設を使うためのノウハウを、向上心を持って模索しているところでもあります。規模や新しさでの注目度の高さに甘んじることなく、今後もしっかりと結果を出しながら、実績を積み重ね、より質の高いレースを築くための貢献をしていきたいですね」(関係者)。

素晴らしい施設、そして素晴らしいスタッフの皆様でした。ありがとうございました。