【セレクトセール2025】現地レポート
2025/07/17

こんにちは!
今年もやってきました、競馬ファンにとって一年で最も熱いイベントのひとつ「セレクトセール」。2025年の会場は例年以上に活気に満ち、改めて血統の奥深さと競走馬の価値に圧倒される二日間となりました。
ご挨拶が遅れましたが、私は京都サラブレッドクラブのスタッフで、
今回セレクトセールに同行させていただいた者です。
僭越ながら、現地レポートをお届けさせていただきます!
※申し訳ございませんが、セール会場内は原則写真撮影禁止ですので、画像はお届けできません。
■1歳下見編
昼頃に会場であるノーザンホースパークに到着。
すでに多くの人で賑わっており、真剣な眼差しで馬を見ている人もいれば、テントで談笑する人など、楽しみ方は人それぞれ。
受付を済ませ、事前に目を付けていた馬を下見。
「ん〜‥‥高い!笑」
リザーブ価格を見て思わず苦笑い。血統の良い馬はやはりそれなりのお値段です。
「この価格なら、うちの馬何頭分だろう…」なんて考えながらも、活気にあふれるセリの時間帯を見据え、タイミング次第で“掘り出し馬”を狙う作戦に。
下見は25頭ほどで終了。数頭に目星をつけ、あとは当日の状況次第。
「下見ですらこれだけ熱気があるのだから、当日は一体どれほどの盛況になるのか…」と胸を高鳴らせ、16時過ぎに会場を後に。
夜は札幌に戻り、明日に備えておいしい海鮮を堪能します。
■1日目(1歳セール)
◆セリ開始直後から白熱
上場番号1番、メチャコルタの2024(コントレイル産駒)
セール前週の福島競馬場で初の新馬勝ちと話題のコントレイル産駒だけに、開始早々から価格が吊り上がり、落札価格はなんと2億6千万円!
一声で1000万ずつ上がるこの熱気は、やはりセレクトセールならでは。
◆本日の狙い馬
・8番 ストーミーエンブレイスの2024
母は北米で9勝を上げ、重賞勝ち2回の実績馬。半兄ドンパッショーネはJRA現役で2勝を上げており、本馬はその3番仔。下見時に豊富な筋肉量と骨格に目を引かれ、狙っていた一頭。
・83番 キープレイヤーの2024
クラブ募集馬パドロックの半弟。
兄に似て本馬も好馬体、それに加えメリハリのある筋肉とバランスの取れた歩様、父ナダルの産駒成績を鑑みても、今後の成長に期待が持てる一頭。
・107番 ラブカンプーの2024
本馬は本日の狙い馬の中でも特に注目している一頭。
母ラブカンプーは重賞勝ちに加え、G1で2着の実績馬。その母の素質を素直に受け継いでおり、短距離でその才能を存分に発揮できる姿が今からでも目に浮かびます。父ファインニードルから見ても価格はそこまで上がらないのではと期待しています。
・185番 プントバンコの2024
馬体の良さはもちろんのこと、ケチの付け所がほとんどなく、上場番号も遅いのでライバルが比較的少ない時間帯に行われる点も魅力と言える一頭。やはり募集価格のことを考えると割安で買えるに越したことはないですよね。
以上が本日の注目馬ですが、結果は……残念でした。(笑)
やはりセレクトセールにおいて納得の価格で落札するのは難しいですね。
◆会場グルメも見逃せない
気を取り直し、会場では豪華な食事が食べ放題、飲み放題!
タラバガニ、ホタテ、ステーキ、ワイン…とどれも魅力的なのに、
私はなぜか焼きそばとおにぎりをチョイス(笑)。
まだ、一般人の感覚が抜けない自分に軽く失望しましたが、
これが驚くほど美味しい!
やはり豊かな自然の中で食べる焼きそばは別格です。(笑)
食とロケーションは切っても切り離せないですね。
◆1日目最高価格
1日目最高価格は45番 モシーンの2024(4億2千万円)!
パレードリンクでこの戦いを見守っていましたが、一気に価格が吊り上がったり、3億円台に突入する瞬間は場内の雰囲気が変わってくるんですよね。いったい誰がビットしているのかという全注目がスポッターの声がするエリアに向けられ、生でしか味わえない独特の緊張感があり、貴重な体験ができました。
その渦中にいたモシーンの2024は父がキタサンブラック。
近親も優秀な成績でこの価格も納得ですね。
また、キタサンブラック産駒は上場馬11頭中10頭が億越えという快挙。
金銭感覚がおかしくなりそうですね。
私は今日の朝ごはんに160円の鮭おにぎりを買うか、230円の鮭いくらおにぎりを買うか
5分ほど悩んでいました。あの時間は一体何だったのか。(笑)
■2日目(当歳セール)
8時過ぎに会場に到着。
台風の影響を心配していましたが、雨も降らず、むしろ過ごしやすく快適。
◆当歳下見偏
目当ての馬と今年が初年度の新種牡馬を下見。
数十頭と下見をした中で、タイトルホルダー産駒、シュネルマイスター産駒に
「おっ」と思うような馬がいましたので、未来の出走で答え合わせができればなと。
そして、今年の最注目はやはりイクイノックス産駒でしょう。
初年度なので、もちろん実績はありませんが下見の人数も多く、リザーブ価格の時点で
その期待度が計り知れます。計24頭が上場されていますが、どれほどの価格が飛び出すのか、セリの瞬間が待ち遠しいですね。
最後は今回のセレクトセール事前調査において一番の候補馬であった
522番 アビラの2025のもとへ。
本馬の父グレーターロンドンは非常に優秀な種牡馬だと考えています。重賞勝ち馬こそ少ないものの、産駒の累計勝ち馬率は現在のリーディングサイアー上位馬と遜色ないレベルで推移しています。今後ディープインパクト産駒の後継種牡馬としてその名を馳せても、なんら不思議ではありません。
そして、優秀な父の遺伝子を育む母アビラは重賞勝ち馬を2頭輩出している繁殖牝馬であり、クラブ募集馬であるフルムの母、サンタテレサを産んでいる縁もあります。
それに加え、親子で目の前に現れた時、私は驚きを隠せませんでした。
なぜなら現在21歳とは思えない程、若々しさを保っていたからです。
これほど優秀な父と母から産まれた仔、アビラの2025もまた期待通りの逸材でした。
馬体の良さはもちろんのこと、歩様も素晴らしく、表情からは気品を感じさせます。
前述の血統背景からも今後の成長に期待せざるを得ません。
なんとか予算内で落札できないかと願うばかりです。
◆当歳セール開始
1頭目から2億円が飛び出す華々しい幕開け。
その後、高額馬が続出の中、ついにイクイノックス産駒が初上場。
その価格は……なんと2億3千万円!
これだけでも充分ですが、上々の滑り出しとなったイクイノックス産駒は止まらず。
344番 ミッドナイトビズーの2025で、今年のセレクトセールで最高価格となる
5億8千万円を記録。
さすが世界一の実績を持つ父の仔ですね。
◆522番 アビラの2025、ついに!
セールも終盤に差し掛かり、一番の目的である522番 アビラの2025が上場。
リザーブ価格は1500万。
「なんとか予算内に落ちてくれ!」と心の中で叫ぶように祈ります。
しかし、開始直後から願いとは裏腹に価格はスルスルと上がり、
気付けばすでに2800万。
「これは厳しいか…」と半ば諦めムードで見守りながら、2900万でビット。
ん?…
先ほどまで場内に勢いよく響いていたスポッターの声が聞こえてこない。
これはもしや…
カーン…
ハンマー音が場内に響き、落札成功!!
父グレーターロンドン × 母アビラ
半兄にはカテドラル、ジェベルムーサと重賞勝ち馬がおり、
半姉にフルムの母であるサンタテレサと、縁と良血を兼ね備えた期待の一頭です。
この仔が無事に成長し、レースで走る日が心から楽しみでなりません。
■まとめ
2日間、セール会場の熱気と独特の緊張感を存分に味わいました。
高額取引が次々と飛び交う世界に圧倒されつつ、最後は目的の馬を落札することができ、大満足でした。
さて、夢の時間はここまで。
最後は高級食材を思い切り胃袋に詰め込み、一般人らしい日常に戻ります(笑)。
最後までお読みいただきありがとうございました。