園田でクラブ馬が大活躍中!~兵庫・柏原調教師~
※写真は左が柏原調教師(右は小牧太騎手)
クラブがNARの資格を取得して数ヶ月が経ちました。現在は地方の競馬場でも、クラブ馬が大活躍。本当に有難い限りです。中でも兵庫移籍の馬は、9戦9勝というパーフェクトの成績(12月13日現在)。その素晴らしい結果を出していただいているのが、柏原厩舎となります。
柏原誠路(カシハラ マサミチ)調教師の経歴やこれまでの実績は、他で見ていただくとして、こちらのブログでは「どのような思いで馬を育てていただいているのか」を皆様にお伝えできればと考えております。
※サイレンスタイム(兵庫移籍後 3戦3勝)
つい先日、ある栗東トレセン関係者とお話させていただいた際、非常に興味深い情報を教えてもらいました。
それは「柏原厩舎が、西脇トレセン内のあの位置に何故あるかわかりますか?」(栗東トレセン関係者)と質問を受けたところから始まりました。
西脇トレセンへ取材に行かせていただいた時に記憶にあるのは、調教コースから柏原厩舎までがとても遠かったということ。おそらく一番遠いゾーンに位置していたと思います。何往復もしたので、ヘトヘトになるほどでした。また西脇トレセンは調教コースが高い位置にあり、そこから下っていく形で厩舎が連なっているという特徴があります。従って単に距離が遠いだけでなく、厩舎からコースに向かう際は強烈な上り坂になっており、しかも馬が歩く深い砂の馬道なので、人間が歩くとかなりの負担となります。
※ミストラルピンク(1戦1勝)
受けた質問の答えは「実は『低い位置から長い距離を歩いて馬が調教コースに向かうこと。ほぼ毎日これを繰り返すわけですから、馬を強くするのにとてもいい』という思いで、一見不便に見えるその場所をあえて選んだんですよ」とのことでした。
本当かなと思って、柏原調教師にお聞きすると、
「ハハハッ笑、だいたい当たっていますけど、ちょっとだけ違いますね」と。なんだ、違うんだと思ったのですが、いやほぼ栗東トレセン関係者にお聞きした通りでした。
「事実を言えば、私があの場所を選んだのではないんです。というか、選べないんです。いくつかの厩舎建物の空きがある中で、抽選みたいな感じで決まるんですけど、気持ちの中では、やはり馬を少しでも鍛え上げたいという考えがありましたから、今の厩舎位置の場所が当たってほしいと願っていました。そうしたら、そこに当たったんです」(柏原調教師)
その信念を持っていらっしゃったのは事実なので、栗東トレセン関係者の情報は、ほぼ正確だったと言ってもいいのではないでしょうか。
※ユーヴェリア(兵庫移籍後 2戦2勝)
そう言い切っていいのではないかと思ったのには、もう一つ理由が。以下は、柏原調教師へ質問した後の回答。
「柏原調教師は、家が園田のある尼崎なのに、なぜ厩舎は西脇にあるんですか?」(京サラスタッフ)
「それも、さっきの理由です。日々の何気ない運動の時でも、自然と馬を強くできるあれほどの場所は他にありませんからね。」(柏原調教師)
では普段の生活はどうなっているのかをお聞きしますと、
「もちろん自宅にいる時もありますが、だいたい西脇の厩舎で寝泊まりしています。いわば単身赴任。本当に馬漬けの毎日ですよ。例えば、園田の厩舎が空いた時に、そちらに移らないかと声をかけてもらうことも実際あるんです。その方が生活はしやすいですからね。でも断っています。今は西脇のあの場所がベストなんです。馬を強くできるのであれば身を削ってでも、という信念を持って取り組んでいますからね。調教師になって約20年。まだまだやるべきことがありますけど、その信念だけは曲げずに、これからもしっかりと前に進んでいきたいと思います。」(柏原調教師)
※ケーヴァラ(兵庫移籍後 3戦3勝)
ブログの最初の方で『(クラブスタッフがこの坂を登っていくのに)ヘトヘトになった』という話をいたしましたが、柏原調教師も自厩舎の馬がトレーニングに向かう時は、毎回同じ坂を登っています。それだけでも大変な重労働です。また我々が以前、西脇トレセンへ取材で訪問したのは午前3時。その時間帯には、すでに調教師・スタッフもエンジン全開でお仕事です。日が変わって間もない時間から、柏原調教師がトレードマーク(?)の手拭いを頭に巻いて、スタッフと共に汗を流しなら、管理馬の世話をされている姿にはちょっと衝撃を覚えたほどでした。
兵庫・西脇に『真のホースマンあり』ですね。