パドロックへの思い ~北枕鳩三郎~

2024/09/06

 

皆様こんにちは。北枕鳩三郎です。
今回はパドロック号への思いについてお話させていただければと思います。

パドロック号は春先に一頓挫こそありましたが、大事にはいたらず、クラブのホームページにアップされた立ち写真を時系列に追って見ていきますと、ここ最近は腹回りもだいぶ絞れて競走馬らしい体つきになってきたことがわかります。

動画を見ていただければわかる通り、朝日に照らされた雄大な馬体は一段と逞しく、また、BTCの壮大な芝コースの緑に対比する漆黒のその容姿は、名画の題材にもなりうる美しさと品性を感じさせます。セレクトセール時の好印象のまま、競走馬として成長し続けていることがはっきりと認識できました。
昔から、『黒い馬は2割増しに良く見える』というのがパドック派あるあるですが、その2割を差し引いても抜群のルックスと存在感。出資してくださっている会員さんには、一刻も早く実馬を見てもらいたい、そんな気持ちにさせてくれる馬です。

歩様を見ると後肢の踏み込みのバネ感は健在。直飛気味の飛節からダイレクトに伝わるトモの筋力は、繋の反発力と相まって、有名なピアニストの指の動きを連想させる弾け方をしています。ゴンバデカーブースや3連勝中のクランフォード同様に、ブリックスアンドモルタル産駒の一流馬に共通する後肢のバネ感がパドロックの一番の素晴らしさ。経験則になりますが、あの後肢の踏み込みのバネ感だけで、一定以上のスピード能力は担保されています。
ただし、前肢の捌き、特に肩の動きにかんして言えば、セレクトセール時を100とすれば、普段のパドロックは良くて70くらいの点数しか与えることができません。もっさりとして動きが悪い。肩が出ない…。
オンとオフの切り換えが極端なくらいはっきりしているタイプに見え、オフモード時に歩かせると、やる気の問題なのか、どうしても動きにぎこちなさが生じるのでしょう。実際に乗り役が跨って気合いを表に出している時は、前肢の捌きも実にスムーズですから、もう、そういうキャラだと認定するに至りました。たぶん、競馬場のパドックでも歩様を良く見せないんだろうなぁ、と今から想像できてしまいます。解説者泣かせで、馬券的には美味しいかもしれませんが…

あとは筋肉の質感。これも一貫してセレクトセール時から皮膚の薄さを感じさせ、実馬を近くで見ると、直ぐに破れてしまいそうな薄い透明なフィルムが一枚覆っているかのような繊細さと、それに伴い筋肉の隆起がより一段と際立って見える不思議な感覚に陥ることでしょう。これもなかなかお目にかかれるレベルではありません。あまり例えとして上手ではないかもしれませんが、あの活きたウナギのツルツルとした肌感。身のこなしの柔軟性を含め、いつもウナギの姿をイメージしてしまいます。過去の名馬で例えると、ジェニュインですとかローゼンカバリーのような初期のサンデーサイレンス産駒の筋肉の質感に似ており、代謝が良く、青鹿毛ですが夏場にも強い競走馬として活躍してくれると思います。