北枕鳩三郎の推奨馬① 〜ホウオウサファイア2023〜
今年はゴリゴリのダート馬を1頭は落札しようと、意気込んで臨みましたので、そのミッションはしっかりとクリアできました。しかも、当初にイメージしていた以上の良駒を募集馬ラインナップに加えることができましたので、自信を持って会員の皆様にオススメすることができます。
サマーセールの主な購買層は、一にも二にもダート馬血統の馬格のある牡馬を求めていると言っても過言ではないので、このカテゴリーの良駒をクラブコンセプトに合った予算内で落札するのは至難の業です。それだけに難しい挑戦ではありましたが、クラブ関係者一同が納得してくれるだけの馬体と歩様、そして、血統の字面的にもドンピシャな馬を落札することができました。
この馬は凄いですよ!まさにサウスヴィグラスとパイロのイイとこ取り。サウスのようでパイロでもあり、よく見るとパイロのようでいて、やっぱりサウスでもあり。例えるならば、ニュースでみかける首脳会談でサウス大統領とパイロ首相ががっちりと握手を交わしているといった感じです。
栗毛でプリっとしたボリューミーなトモは、筋肉の質感を含めてまさにサウスヴィグラスが強く表れています。また、少し曲飛気味の飛節はパイロ産駒らしく、これが破壊力のある末脚を生み出します。歩かせても前肢の伸びが素晴らしく、膝から下がグイっと前に出て着地します。これならば競馬に行っても間違いなく、ぐいんぐいん追い込んでくるでしょう。ダート短距離の追い込み馬としての資質は、母父サウスヴィグラスの回転の速い脚捌きと母母父アサティスが伝えるパワーも強力にサポートしてくれている感じ。クラブの代表馬であるフルムのような末脚特化型として、会員さんだけでなく競馬ファンからも愛される競走馬になるのではないでしょうか。古馬になり本格化を迎えた後は、根岸Sで3年連続で馬券に絡むくらいの活躍を期待しています。
また、本馬の推しの一つに、その顔つきの良さがあげられます。“顔がイイ”馬は走ります。パイロ産駒は瞳の大きな馬が多く、総じて自分の好みの顔つきの馬が多いことは事実ですが、それにしても品のある顔つき。気性の難しさで知られるパイロ産駒であっても、色々な場面で見せる本馬のしぐさからは、人に対して従順な姿勢が窺えます。これならば、今後の育成も順調に進められるのではないでしょうか。
経験上、迷ったら顔つきの良い馬を選ぶほうが競走成績の安定にも繋がります。現2歳世代は8頭の落札にかかわらせていただきましたが、どの馬も顔つきにかんしては妥協なく選びました (このあたりは3歳世代の反省と教訓も活かしつつ…) 。良い顔つきの馬ばかりです。馴致や育成、その先のゲート試験に至るまでもスムーズに進められるか否かは、その馬の持つ気性面に寄るところが大きいと考えます。普段から無駄な動作が多ければ多いほど、予期せぬ故障にも繋がります。買い手がそれを未然に防ぐには、気性面の見極めが大事です。比較的、セリ価格に反映されない部分でもあるので、この顔つきについては拘りを持って選馬させてもらっています。それも2歳世代がゲートまでは順調に、且つ、スムーズに進められている要因の一つだと思われます。
最後に、明らかに適性がダート寄りの本馬ですから、所属先は栗東の新規開業厩舎を予定させていただいております。栗東の坂路は“魔法の坂路”。ダートの一流馬を意識的に造って育てていくには、欠かせない最強のツールであると考えます。(※あくまで個人的な意見です)素材的には、かなり高い確率で上のクラスで活躍できる馬だと信じておりますゆえ、ここは栗東の坂路でバンバン乗って鍛えてもらいましょう。まだ、詳細は明らかにできませんが、お預けする予定の厩舎は、坂路の使い方が非常に上手なスタッフが揃っていると伺っております。ゲート試験合格後、一発目の速い追い切りで、栗東の坂路を終い1F12秒前半で上がってきたら、その時点でガッツポーズです。
競走馬の世界は、なかなか思ったように上手くはいかないものですが、一口馬主は妄想が現実となるのが醍醐味。本馬はフルムやバトゥーキ、またハリウッドブルースなどの先輩たちを超える、そんな活躍を期待しても良いレベルにあると断言いたします。