信頼と実績 宇治田原優駿ステーブル

2020/12/22

 

お茶の産地で有名な宇治の山間にあるのが宇治田原優駿ステーブル。栗東の笹田厩舎や杉山晴厩舎などが短期でよく預けられることから、当クラブも数多くの馬を通してこれまでお世話になってきました。最近では、キタサンブラックやデアリングタクトの短期放牧先としても、競馬ファンによく知られている名門です。

多くのスタッフがおられるその中でも、中間の状態についてよくお話をお伺いしているのが、同ステーブル担当者のAさん。クラブとしてもたくさん外厩先があり、その数だけ窓口になっていただける担当者さんがいらっしゃいます。皆さんとても親切なのですが、Aさんはそれにプラスして、とにかく穏やかで丁寧な語り口調が印象的。どんなにお忙しい時でも、優しく対応していただけるので、お話をお聞きする時間が長くなってしまいます。いつも申し訳ありません・・・。

同ステーブルにいる騎乗スタッフは50数名。現在、騎乗トレーニング中の方も含めると60~70名ほど在籍されています。時期によって多少前後はあるものの、300頭以上の収容が可能な施設で、それを前述のスタッフ数で日々運動をさせていることになります。

調教コースは、トラックがウッドチップ(外)とダート(内)の2種類で、1周の距離は600~620m。通常はここでダク・キャンターを行います。例えば現在入厩しているラウディ号などは、ダク1周・軽いキャンターを3周しています。その後坂路コースに入るのが通常のメニューです。

坂路も2本平行する形で設定されています。2本の違いは「長さ」と「幅」。オフィシャル的には短い方(Bコース)が800m・幅6m、長い方(Aコース)が870m・幅8mとなっていますが、「実際は70mの差ではなく、というのもトラックから坂路に行く時は、まず短い方のBに入るんですけど、そこは馬道も兼ねているので、実際トレーニングができるBコースの距離は600~700mなんです。長い方のAコースはすべて調教コースなので、その差は200mほどあります」と担当者。従って、しっかりと運動させたい時はAコース、様々な理由でやや抑えめにしたい時はBコース使用になります。

2本のコースは共にコーナーが2つあって傾斜がキツく、ラスト1F~2Fの勾配は栗東以上。担当者も「最初にここに来たときは、傾斜にビックリしました」とのこと。実際に調教で走っている馬の様子から、十分負荷がかかっているように見えました。宇治田原の坂路を使って馬がガラッと変わった、という関係者の話は以前から時々聞いていましたが、100%納得です。また「コーナーも傾斜もありますから、速い時計でもだいたいF13秒台ですね」と担当者が語るように、個人的にはU字になっているコース形状の関係で、ラップタイムが適度な範囲になっているのも、休養中である側面から考えると、疲れを残さない点で非常に良いところだと思いました。

時計はもちろん自動計測。ゴール後、ただちに3F内のラップタイムと全体時計がモニターに表示され、責任者と騎乗者が実際の時計を確認できるようになっています。
「馬の状態や、いつ入厩するかによって、もちろんメニューや時計の目標設定を変えていきますが、15-15を基本とするなら、例えばラウディが入厩間近になってくれば14-14を目安に微調整していく感じです」と担当者。今は追い日を15-15まで持っていけるのが今週か来週か・・・という状況ですので、同馬の栗東入厩はもう少し先になるというイメージです。

多頭数のトレーニングを午前中に一気にこなすので、仕事がオートメーション化してしまうのではないかとの危惧。これは全く必要ありません。逆に取材時、各馬の担当者が一頭一頭じっくりと体をほぐしながら、時間をかけて乗り込まれている姿が印象的でした。それと、トレーニング中はたくさんいるスタッフ同士の会話もほぼ皆無。跨っている馬とのコミュニケーションのみに集中されている様子に、プロフェッショナルな姿勢を感じた次第です。

※上記写真中央に移っているのは、トラックコースに向かうラウディ号

宇治田原優駿ステーブルは、平成14年設立になりますので、現在まで約20年弱。各方面からの信頼と共に積み重ねてきた輝かしい実績は、スタッフ一人ひとりの高いモチベーションとプロ意識に支えられているようです。今後ますますの発展をお祈りしております。

そうこうしているうちに、またAさんの携帯に着信が。そして受話器の向こうの相手様にいつもの親切・丁寧なご対応。気づけば、こちらが取材予定時間を随分オーバーしていました。また優しさについつい甘えてしまい申し訳ありません。今後ともよろしくお願い申し上げます。