個々の責任感から生み出される、クオリティの高さ~フォレストヒル~

2021/04/06

 

先日、2歳クラブ所属馬のオースピシャス号が、淡路島のawajiトレーニングセンター内「フォレストヒル」様に移動いたしました。

 

awajiトレーニングセンターとしては全部で約160馬房。2016年に設立されたフォレストヒルは、現在工事中のものも含めて112馬房あります。よく言われるのが、その馬房のサイズ。フォレストヒルでは通常よりも広めで、ゆとりある造りとなっています。

 

※4.55m×3.64mの広さ。一般的には3m四方以下のところもあります。扇風機とミストを設置しているので、夏でも快適。

 

「たぶん広いからだと思うんですけど、寝違えなどもほとんど起こらないですね」とフォレストヒル担当者様。場所柄、まわりの環境も静かで、馬房の広さと相まって、入厩している馬たちがとてもリラックスできる空間。また、温暖な気候と太平洋からの爽やかな風が流れ込む地形のため、栗東・美浦の両トレセンでは、普段からカリカリして落ち着きがない馬でも、ここでは気性が穏やかになることが多いようです。

 

調教でかなり攻めても、環境の良さでテンションが上がりにくいと考えれば、強化トレーニングを行うには最適な場所。トレセンの調教師が、この場所を好む理由がよく理解できます。

 

※洗い場。蹄鉄スペース・体重測定・鞍置場を併設。

 

全長1100mの坂路コース

フォレストヒルと言えば、全長1100mの坂路コースが有名。スタートから600mほど進んだところに、ゆるやかなコーナーが一つあるだけ。勾配は3%(止め際は5%)ですが、敷き詰めたウッドチップを深くするなどして、脚元への優しさを保ちながらも、しっかりと負荷がかかるように設計されています。幅員も十分で、もちろん3頭併せ程度の調教であれば余裕をもってこなすことができます。

 

 

トラックコースはありませんが、その分、角馬場が大きめのサイズ(100m×30m。ゲート練習も可)となっており、坂路に入る前はこの場所で体がほぐされます。坂路での追い日は、基本的に火曜と土曜。馬や仕上がり状態に応じ、個別にメニューが組み立てられます。

 

※角馬場

 

2歳馬や古馬の仕上げパターン

2歳馬の最後の仕上げは4F56秒台で最低1本登坂させるとのこと。「ステッキを入れることも多いです。しっかりと追うことでどんな反応をするか。そこで見えてくる特徴やクセがありますからね。調教師の先生にバトンタッチする際の、貴重な情報・報告内容です」と担当者。また古馬の場合は、トレセン再入厩の10日後に競馬を使うケースもあるため、その際はフォレストヒルでの最終追いを52秒台でまとめることがあります。預かる馬の傾向としては、どちらかと言えば長期休養を目的とした馬は少なく、短期調整や立て直しがメインとなっているようです。

 

 

妥協を許さない姿勢

馬房数に余裕はあるものの、現在の受け入れ頭数は84頭以下に設定しています。「“ここに馬を預ければ、何も心配がいらない”と関係者の皆様に思っていただけるようにするのが我々の目指すところ。現時点では、調整のクオリティを落とさずにしっかりやっていけると考える上限が“84”という数字です」と担当者がその理由を説明。その言葉からも、妥協を許さない姿勢が垣間見えました。

 

「個々の強い責任感から生み出されるクオリティの高さと、信頼の構築」

 

フォレストヒルが掲げているスローガンは、精鋭のスタッフたちに深く浸透する中で、今後ますます具現化されていくものと思われます。

 

 

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