~繋がれたバトンがついに実を結ぶ~
2026/07/10

皆様、こんにちは。京都サラブレッドクラブです。
ユーヴェリア号が、2026年7月7日(火)・川崎10R ジュライスター賞(3歳以上1勝クラス)ダート1600m戦で見事初勝利を挙げました。
外枠から積極的に出していき、インコースの好位でレースを運ぶと直線に入るあたりで鞍上の見事なインアウトがさく裂。そのまま突き抜けて、完勝といえる内容でした。
関係者様、本馬を応援していただいた皆様、本当にありがとうございました。
調教師:笹田 和秀 氏
生産:浜本牧場
育成:グランデファーム

出資会員の皆様、おめでとうございます。
本馬の父はなにかと話題の多いオルフェーヴル。
そのためか、育成時代から非常に掴みどころの難しい性格で、人に対しても攻撃的な一面を見せ、普通の馬であれば「攻撃するぞ」という表情を見せてから行動に移すのですが、本馬は顔色一つ変えずに蹴りに来るほどで、牧場スタッフの皆様にご苦労をかけた“やんちゃ娘”でした。
それでも、歩様の良さは早い段階から高く評価されており、2歳になる頃には、走りの安定感や調教への集中力、そして馬体の成長が著しく、牧場内でも「一番成長している馬」と評価されるまでに。
一方で脚元には疲れを溜めやすい面があり、育成段階では無理をせず慎重に進めていく方針で焦らず土台作りを優先。2023年10月に本州へ移動し、同年11月に栗東トレーニングセンターへ初入厩を果たしデビューへ向けて歩み始めました。
しかし、順調であればゲート試験へ向かう予定だったものの、入厩から間もなく熱発と両トモに内出血を起こす異変が。検査後も原因不明とのことで、大事を取って放牧へ出すことに。この後、宮本博調教師は何度も放牧先に足を運んでいただき、状態確認や今後の進め方について密に連携してくださいました。
2024年2月に栗東トレセンへ再入厩。
ゲート試験では少し苦労したものの無事に合格し、迎えた2024年3月24日の阪神ダート1400mでデビュー戦を迎えます。

既走馬相手のデビュー戦ですから、いきなり好勝負ができるほど甘い世界ではありません。
案の定、スタートで大きく出遅れ、馬群へ取り付くまでにも脚を使う厳しい競馬となります。
しかし、ここで本馬が衝撃のパフォーマンスを魅せます。
7馬身はあろうかという馬群最後尾との差も、スルスルと内を進み、気づけば直線を迎える時には勝負圏内の位置に。相当脚を使ったので「さすがにここまでか」と思いましたが、外に出してからも目を見張る末脚を披露。鞍上も「差し切るのでは」と感じるほどの勢いで追い込みます。結果は惜しくも3着となりましたが、このレースの衝撃は今でも鮮明で、ここまで決して順調ではなかった過程を踏まえると、能力の高さを証明する一戦となりました。
このまま続戦を予定していましたが、レース後に左前脚の腫れが見られたため放牧へ。
腫れ自体はすぐに治まりましたが、今度は馬体重が思うように戻らず、再転入には時間を要することに。
その後のレースではスタートの課題や競馬を覚えたことで見せるようになったズルさもあり、悔しい結果が続きました。未勝利戦の終了が迫る中、モレイラ騎手、武豊騎手にも騎乗していただきましたが、あと一歩及ばず中央未勝利戦を終えることとなります。

(最後の未勝利戦 鞍上は武豊騎手)
2024年9月、中央再転入を目指し柏原誠路厩舎へ転籍。
地方初戦となった10月9日の園田ダート1400mでは5馬身差の完勝。まだ仕上がり途上だったことを考えても強い勝ち方でクラスが上がっても十分勝負になると期待させてくれました。
続く昇級戦も勝利し、中央再転入の条件はクリア。しかし、課題に取り組み地力強化を図るため園田競馬で続戦することに。
そして2025年4月23日の園田ダート1400mで4勝目を挙げ、この結果をもって中央競馬への再転入が決定。
柏原誠路調教師、新庄海誠騎手をはじめ多くの関係者の皆様には改めて感謝を申し上げます。

2025年5月、宮本博厩舎へ再入厩。
以前担当いただいた厩舎スタッフ様からは「体つきにボリューム感が増し、パワーが付いてきた。晩成タイプかもしれませんね」と、地方で積み重ねた成長を高く評価していただきました。
迎えた中央復帰初戦はデビュー戦と同じ、阪神ダート1400m。
積極的な先行策で挑みましたが、中央1勝クラスの流れは甘くなく10着と大敗。それでも現状の立ち位置を把握できる内容でした。
その後はクラスに目途の立つ競馬を見せながらも、気持ちの面で能力を出し切れないレースやフレグモーネによる出走延期など、歯がゆい時間が続きます。
なんとか状況を打開するため、
2026年4月に笹田和秀厩舎へ転厩。
苦渋の決断ではありましたが、新体制で勝利を目指すこととなります。
迎えた転厩初戦。
積極的に逃げる競馬を見せましたが、休み明けもあって最後は失速したものの今までと違った形のレースで次に期待を抱かせました。
この後の予定は小倉か地方交流競走かという選択となりましたが、小倉は節が足りないので地方交流競走を本線に準備を整えます。
6月30日、笹田和秀調教師から抽選突破の連絡があり、7月7日の川崎ダート1600mの出走権を獲得。このレースで長かった夜が明け、宮本博厩舎、柏原誠路厩舎、そして笹田和秀厩舎と、多くの関係者の皆様がバトンをつなぎながら積み重ねてきた努力が、ついに実を結ぶことになります。

直近の戦績からも変わり身は期待されておらず、低評価の7番人気でゲートイン。
ゲートが開いた瞬間、躓いた姿には一瞬落馬の悪夢がよぎりました。
しかしなんとか持ち堪えてくれて、インコースの好位を運ぶ形に。

激しく飛び交う砂を被りながらもしっかりと前を捉えて進みます。3コーナーに入る前にペースが上がりましたが、離されないよう鞍上が冷静に対処。ここはさすがの対応でした。
そして最終コーナーで見事なインアウトを決めると本馬の我慢していた闘志が一気に解放され、一完歩ごとに力強く加速し先頭を駆け抜けました。まさに完勝と言える内容。

6歳3月まで一年を切る中、今回の勝利は本当に価値ある一勝だったと、振り返る今、改めて感じています。
これからも馬名に込められた想いの通り “新たな輝きを求めて” 懸命に走る本馬に引き続き温かいご声援のほどよろしくお願い申し上げます。