【北枕鳩三郎氏のコメント】ブリックスアンドモルタル産駒が府中の直線で鮮やかに突き抜け、重賞初制覇!
皆様、こんにちは。京都サラブレッドクラブです。
10/7に行われましたサウジアラビアロイヤルカップ(G3)にて、今年の2歳新種牡馬ブリックスアンドモルタルの産駒ゴンバデカーブースが上がり33.5の末脚で突き抜け、ブリックスアンドモルタル産駒初の重賞タイトルを手にしました。
ブリックスアンドモルタルといえば、弊社で募集しているキープレイヤー22。本年度の北枕セレクトの1頭です。
北枕氏よりブリックスアンドモルタル産駒、そしてキープレイヤー22についてのコメントがございますのでご紹介いたします。
以下、北枕氏のコメント
「サウジアラビアRCのゴンバデカーブースは強かったですね。当日も現地でしっかりと実馬を見てきましたが、さすが堀厩舎と言うべき素晴らしい仕上げでパドックを周回しておりました。同日のマイルの新馬戦でも、同じブリックスアンドモルタル産駒のミエノジュピターを勝利に導いた堀調教師は、この血統を早くも手の内に入れた感すらあります。
ゴンバデカーブースは四肢ともに繋をはじめとする足まわりの強度に優れており、これはブリックスアンドモルタル産駒全般に共通する部分でもあります。繋の強度は歩様時の反発力やバネ感に繋がる大事な要素ですので、特に軽い芝の瞬発力勝負には絶対に必要なスペックとも言えます。ブリックスアンドモルタル産駒の特徴を捉え、その子供たちに大きな期待を寄せる者の一人として、今回の目の覚めるような鮮やかな末脚は、むしろ、必然と感じるところでもありました。
とはいっても、ゴンバデカーブース自身は返し馬に入る際の一完歩目からして鋭い反応を見せ、明らかに母父であるディープインパクトの運動神経の良さも受け継いでおり、すべてが父であるブリックスアンドモルタルの血のおかげとは言い切れないことも事実。物事はそう単純ではございません。実際に、サンデーサイレンスの血を持つ繁殖とのカップリングが大多数を占めるブリックスアンドモルタルの初年度産駒ですから、導入の意図を考えれば、サンデーの血を持たない馬との配合は非常に珍しいと言えます。現2歳世代では今年のダービー3着馬ハーツコンチェルトの半弟であるソウルアンドジャズという素質馬がおり、この執筆時はまだ勝ち星をあげられておりませんが、資質の高い馬体と歩様の持ち主でもあり、個人的には非常に高く評価しています。この馬はサンデーの血を持たずとも、ブリックスアンドモルタルの良さをしっかりと受け継いでいるので、来年の牡馬クラシックに向けても楽しみな一頭です。
また、当歳を含めますと、3世代のブリックスアンドモルタル産駒をセレクトセールや各クラブのツアー等で見てきましたが、年を追うごとに産駒のデキは良くなっていると感じています。キープレイヤーの22を管理していただく橋口調教師のコメントにもありましたが、産駒は父に似た容姿の仔が多いので、それだけブリックスアンドモルタル自身の遺伝力も強いのだと思います。サンプル数が少なく、未知の部分が多いとはいえ、ジャイアンツコーズウェイを経由したストームキャットの系統とは思えないほど、馬体を見るかぎり、産駒は芝向きの軽さも伝えています。産駒傾向として背中の硬い馬もそれなりに見受けられますので、アベレージこそ高くはありませんが、配合次第では繁殖牝馬の質を問わずに、大物を輩出する可能性がある種牡馬だと考えております。
キープレイヤーの22は、母がダートの短距離で活躍したスピードとパワーを兼備した漆黒の好馬体の持ち主。パドックでの実馬の歩様は、硬さが出てきていた晩年以前は、芝でも走れそうな軽い捌きを見せていた馬でした。実際には重賞挑戦となったアイビスサマーダッシュ以外はダート戦しか使われず、その芝適性は未知のまま引退となってしまいましたが、スタートが芝のコースでの走りを見るかぎり、下級条件であれば芝でも同様のスピードを見せた可能性は大いにあると考えています。
そんな母との間に産まれたキープレイヤーの22は、セレクトセールで見せた馬体と歩様の素晴らしさのとおり、芝の中距離での活躍が期待できます。カタログのコメントでも、その良さには触れているので、あえて重複は避けますが、OCD手術後の募集馬動画では肩の出が悪く、本馬の良さがなかなか伝わってこないと思います。しかし、競走馬の資質を考えるなかで、その馬の最も良い時の印象を大事にすることが大切ですので、セレクトセール時の本馬の姿も、ぜひ、ご覧いただければと思います。遅生まれということもあり、これからドンドンと変わっても行くでしょう。そして、強調させていただきたいのは、預託をお願いした橋口厩舎の勢い。パドック派としては仕上げの上手さを知ってほしいと同時に、堀厩舎同様に無駄に筋肉をつけないシャープな造りが好結果に繋がっている厩舎でもあります。ブリックスアンドモルタル産駒をお願いするにあたり、この堀厩舎との仕上げの共通点は大きなプラス材料と言えます。
さて、ブリックスアンドモルタルと同様に、デクラレーションオブウォーという種馬も面白い存在でして、こちらも様々な繁殖牝馬のタイプから活躍馬を出しています。産駒の獲得賞金上位馬の母父の名前を見ていくと、それがよくわかります。当たりハズレが大きい種馬とも言えますが、突如として自身の筋力の強さを伝える場合があり、繁殖の質に拘らず一発大物を輩出する可能性がある種牡馬として非常に魅力的な存在です。
ブリックスアンドモルタルもデクラレーションオブウォーも、自身の遺伝力の強さが売りのタイプだけに、実馬を見てジャッジするのが楽しみな種牡馬だと実感しております。
ぜひ、皆様もじっくりと1歳募集馬の馬体と歩様をご覧になって、お気に入りの馬を1頭とは言わず、何頭も見つけてください。
長文にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。」
↑セレクトセール2022での落札直後の映像。
セレクトセールで取引された日高の生産馬は、三冠牝馬デアリングタクトをはじめ、ダービー馬ロジャーバローズ、G1を3勝しているタイトルホルダー、そしてドバイワールドカップを勝ったウシュバテソーロなど、のちのスターホースが多数おります。
本馬もまた、彼らに続く未来のスターホースなのかもしれません。
今後ともよろしくお願い申し上げます。