4歳世代振り返り②~アルヴェッター~【北枕鳩三郎】
2026/03/24

こんにちは、北枕鳩三郎です。
引き続き、4歳世代の振り返りとなります。現在は他のオーナー様のもと、現役を続けている馬もおりますので、ここではクラブ所属時の見解であることをご承知おきください。
2023年のサマーセールでは7頭の落札に携わらせていただきました。この年のテーマは成長力に期待して、あえてまだ体が出来ていない遅生まれの馬を狙う、というものでした。
ご存知のとおり、リーズナブルな価格帯での募集を身上とするクラブですから、落札価格は安いに越したことはありません。遅生まれの馬は、セリの時点では早生まれの馬に比べて、見栄えで見劣るケースが多く、競り上がる率が少ないことは、これまでの経験でわかっておりました。馬体のパーツを見ても筋肉の付き方にバラつきがあり、ここがもっと良くなれば、上のクラスで走れる馬になりそう、という成長後の姿をイメージして落札した馬が多かったと記憶しております。
そのなかで、イメージとは異なるも、大きな成長を見せてくれたのがアルヴェッターでした。
※デビュー戦の映像(2024/11/17)
本馬は母父スペシャルウィークの特徴が出た芝向きのシルエットが気に入って、落札候補馬として推挙させていただきました。当時、フォーウィールドライブ産駒は初年度ということもあり、その後の成長過程や産駒傾向などは未知の馬ではありましたが、母父が強く出ているアルヴェッターは他の父産駒とは異なったタイプであるという見解でした。しかし、成長するにつれ、段々と父の産駒傾向どおりの馬体の成長を見せていくようになります。飛節の折りが深くなり、後傾重心が加速。また、骨量や筋肉量も増え、シャープな体つきだった馬が、どちらかといえばゴリゴリのダート馬資質に変化していきました。この変化をまったく見抜けませんでした。ダート馬らしい体つきに成長したことで、ある意味、クラブの方向性にはマッチしているとプラスに考えましたが、可動域が広い歩きから産まれる大きめの跳びがマイナスに働いてしまいました。ピッチの回転数を上げるための運動神経が不足していたのだと思います。レースを見るかぎり、単純に脚が遅いと感じさせる場面が多く、勝ち上がることなくクラブの所属ではなくなりました。
※3戦目、地方交流戦の映像(2025/7/8)
芝向きの歩様、つまり、可動域の広さが魅力の馬でしたが、ダート馬資質が強まる馬体の成長を見せたことで、良さが半減するどころか、マイナスに働いてしまったのだと考えています。母父スペシャルウィークからイメージしていた成長の方向性が単一的ではなかったことと、フォーウィールドライブの遺伝力の強さを見抜けなかった自分のミスでもあります。
アルヴェッターが出走したほとんどのレースを現地に行き、パドックでもその姿を確認してきましたが、馬体の見た目だけは本当に素晴らしい馬です。正直、結果が出なかった理由を探るなかで、納得できていない部分もございます。なんとかならなかったかなぁ、と…。それは出資してくださった会員の皆様も同じだと思っています。いまは、できるかぎり、一頭一頭の馬に対して、能力を最大限発揮できる環境づくりをすることがクラブに課せられた使命だと感じています。
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北枕鳩三郎 氏 プロフィール
約35年間、パドックの最前列にこだわり続け、学生時代には年間365日、JRAと南関東競馬のパドックに立ち続けたことも。競馬場以外にもセレクトセールやサマーセール、一口馬主募集馬ツアーに参加し、現役馬から1歳馬まで数えきれないほど馬体を見続けてきた。その馬見に関してはネットを中心にカリスマ的人気を誇る。
京都サラブレッドクラブでは、2022年より募集馬選定に携わる。