1歳募集馬からの推奨馬【北枕鳩三郎】

↑画像:ファシネイトの2024
こんにちは、北枕鳩三郎です。
サマーセール落札馬の近況を確認する目的もあり、北海道の育成場をまわってきました。
クラブ募集馬を確認してまいりましたので、印象の良かった募集中の4頭+満口のミラクルベリーの24をご紹介させていただきたいと思います。
今回も忖度抜きのチョイスでございますので、最後までお付き合いください。
まず1頭目はナイトブリーズの24です。
今回の視察で、もっとも印象が変わったのが本馬です。各方面でいつも言っていますが、短期間で大きく変わる馬、急成長する馬は必ずと言っていいほど走ってきます。以前はもっと四肢の繋の緩さが気になっていたのですが、今は見た目の繋の角度よりも反発力に優れているので、緩さよりも強度のほうが目をひきます。また、特に強調したいのが前肢の捌きの柔らかさ。肩から良く動き、なめらかな膝の返しは走る芝馬の特徴です。もちろん、後肢の踏み込みの力感も言うことがありません。初仔ながら馬格もあり、ナイトブリーズというお母さんは、もしかしたら凄い繁殖なのかもしれません。2歳のヴェルジーネと同じ、前谷牧場さんのアンティフリーズ系と宮地調教師とのタッグというのも魅力的。同じ日に最大手の牧場さんの1歳馬も何頭か見学してきましたが、本馬にかんしてはまったく引けは取らないと思います。
2頭目はファシネイトの24です。
正直に申しますと、サマーセールからの上昇度で言えば、タイヨウガデテキタの24の方が上だと思います。ただ、元々の評価が個人的には高すぎることもあり、求めているレベルの高さが印象度の違いに表れているだけかもしれません。遅生まれですから、馬体の成長はまだまだこれからといった印象ですが、すでに何度も見に来てくださっている小栗調教師の評価も上々のようですし、普段から担当されているスタッフさんも気に入ってくださっているようでした。馬体を見ても、芝向きであることは間違いありません。相変わらずバランスは良好です。坂路を上がってくる姿と走りをみても、跳びが大きく、首の使い方が非常に上手ですので、目論みどおり芝の中長距離で開花する可能性が更に高まりました。1歳11月の時点であの走りができていれば素質は確かだと思います。あとは無事に稽古を積み重ねて、馬体に厚みが増してくれることを願っています。
3頭目が、タイヨウガデテキタの24。
これは良くなっていましたね。約2ヶ月ぶりの再会でしたが、短期間で筋肉量が増してプリプリ感が更に加速していました。怪獣みたいな威圧感は健在でして、前肢の捌きも回転が速く、いかにもサウスヴィグラスという動きをしています。栗東の坂路で鍛えれば、ダートの短距離馬として素晴らしい体つきでデビューを迎えられるイメージがあります。腹袋が大きく、飼葉喰いが良いのも頼もしいかぎり。現状で460kgあるとのことでしたので、順調に成長すれば480kgくらいで競馬ができそうですし、すばやく動けるスプリンターとしては理想的な馬格におさまりそうです。
4頭目はサンタテレサの24をご紹介いたします。
当歳時から追って見てきましたが、本当に良くなっていますね。特にトモが立派になりました。ディープ系の牝馬はトモが薄い馬が多いのですが、本馬は厚みもしっかり。上がダート短距離で活躍している血統だけあり、成長の方向性が馬体の横幅に集中しているようです。これならば、基礎的なスピード性能は担保されているように感じますし、もちろん、軽い脚捌きからは芝での活躍が基本線となるでしょう。また、募集時の管囲を気になさるかたもいるかもしれませんが、全体的な馬体のバランスからすれば、芝向きの本馬は不安材料にはなりません。既に芝で勝ち上がった2歳のマイリトルヒーローでも懸念された事項ですので、自分も注視して見てきましたが、膝下が短いのでおそらくデメリットにはならないでしょう。成長過程を見守りつつ、ご出資のタイミングを計ってください。
最後に5頭目はミラクルベリーの24です。
すでに満口とのことでしたが、その理由がわかる良駒でした。会員の皆様の見る眼の確かさを改めて感じた次第です。コンパクトにまとまりがありながら、特徴的なトモのボリューム感と歩様の力強さは、気性面を含めて常に安定しており、馬主孝行な競走馬として活躍してくれそうです。首さしの短さや体高と四肢の長さのバランスから、適性は1200~1400がベターのスプリンターといった印象。直飛でありながら、後肢の蹄の着地が前々へと踏み込んでくるので、こういったタイプは追って良さが出ます。差し脚が鋭い個性的な競走馬になるのではないでしょうか。
吉澤ステーブルさんには2歳のキャノンボールも在厩しておりました。
また一段と逞しくなっていましたね。視察した当日は、まだ運動の制限があるなかでしたので、元気が有り余っているのか煩いしぐさが見られましたが、体つきにかんしてはさすがの好馬体でした。1歳時よりも背が伸びて、立ち姿も後傾重心になってきましたので、やはり、競走時は追い込み脚質のフルムやバトゥーキのようなタイプになりそうです。
クラブとしても期待の高い一頭という話は聞いていますので、このあとは順調に進むことを祈るのみです。
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北枕鳩三郎 氏 プロフィール
約34年間、パドックの最前列にこだわり続け、学生時代には年間365日、JRAと南関東競馬のパドックに立ち続けたことも。競馬場以外にもセレクトセールやサマーセール、一口馬主募集馬ツアーに参加し、現役馬から1歳馬まで数えきれないほど馬体を見続けてきた。その馬見に関してはネットを中心にカリスマ的人気を誇る。
京都サラブレッドクラブでは、2022年より募集馬選定に携わる。